ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BS-16一般化線形モデルによる顆粒物性と錠剤物性の関連性評価◯大石卓弥1、林祥弘1、矢野文昌2、小杉敦2 1、大貫義則( 1富山大学製剤設計学講座、2日医工株式会社)【背景・目的】製剤設計において顆粒物性は錠剤の品質特性に大きな影響を与える重要物質特性である。しかし、造粒方法が異なった場合でも顆粒物性から錠剤物性を予測できるような系統的なアプローチはあまり報告されていない。顆粒物性と錠剤物性間の関係を明確化する手法を確立できれば、スケールアップや製造装置の変更による品質の変動を最小限に抑えられる。しかしながら、顆粒物性は多次元特性であるため、顆粒物性と錠剤物性の関係を明確化する際に、単一の顆粒物性と錠剤物性の相関を調べるだけでは不十分である。すなわち、多種多様な顆粒物性から錠剤物性と密接に関連する重要因子を抽出し、モデル化を行う必要がある。重回帰分析は複数の説明変数と目的変数の関係をモデル化する一般的な手法であるが、説明変数間に多重共線性がある場合や、説明変数がサンプル数よりも多い場合、良好なモデルを構築できないことがある。そこで本研究では、ペナルティ項を組み込んだ回帰分析手法である一般化線形モデルに着目した。一般化線形モデルはサンプル数が説明変数よりも少ない場合でも評価できる利点や、多重共線性が生じているデータを解析するのにも適用できる利点を有している。そこで、本研究では、一般化線形モデルを用いて造粒方法によらず顆粒物性から錠剤物性を予測できるモデルを構築することを目的とした。【方法】モデル薬物としてイブプロフェンを用い、5種類の造粒方法(流動層造粒、転動流動層造粒、攪拌造粒、押出造粒、乾式造粒)で顆粒の調製を行った。このとき、水分添加量などの造粒条件を変え各造粒法ごとに2種類の顆粒を調製した。顆粒物性としてかさ密度、粒度分布、弾性回復率、ぬれ性、表面自由エネルギーを測定した。これらの顆粒を8および12kNで打錠し錠剤物性として引張強度および溶出挙動を測定した。錠剤物性と顆粒物性の関連性を一般化線形モデルにより評価した。【結果・考察】一般化線形モデルによる解析の結果、錠剤の引張強度にはタップ密度、90%粒子径、表面自由エネルギーの極性成分が影響を与えていることが示された。一方、10分後の溶出率にはタップ密度、圧縮性指数、50%粒子径、粒度分布相対幅、弾性回復率、表面自由エネルギーが影響を与えていることが示された(図1)。また、Leave-one-out cross-validationを行い重回帰分析と一般化線形モデルを比較したところ、一般化線形モデルの方が未知の顆粒に対しての予測精度が高いことが示された。これらの結果から、一般化線形モデルは顆粒物性と錠剤物性の関連性を定量的に明らかにする上で有用な手法であることが示された。(a)(b)図1 .一般化線形モデルの予測値と実測値のプロットおよび予測式:(a)引張強度および(b) 10分後の溶出率