ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BG-1シグマ受容体標的分子プローブの開発○増田涼平(金沢大院医薬保)、小川数馬(金沢大新学術)、三代憲司(金沢大新学術)、小阪孝史(金沢大学際セ)、柴和弘(金沢大学際セ)、小谷明(金沢大院医薬保)【目的】シグマ-1受容体は種々のヒト癌細胞に過剰発現しており、癌イメージングのターゲットとなりうる。さらに、シグマ-1受容体の発現量と神経変性疾患との相関が報告されており、受容体の定量評価はそれら疾患の早期診断や治療指針の決定につながる可能性があるため、シグマ-1受容体イメージングプローブの開発が望まれている。(+)-vesamicol (Fig. 1)は、シグマ受容体リガンドであり、そのベンゼン環p位にハロゲンを導入することで、シグマ受容Fig. 1. Structure of (+)-vesamicol体への親和性が向上することが知られている。そこで本研究では、放射性ハロゲンを導入したシグマ-1受容体イメージングプローブの開発を目指し、vesamicolを母体化合物とした数種の誘導体を設計、合成し、評価を行った。【方法】C nNV (n = 0, 1, 2, 3, 4) (Fig. 2)を設計、合成し、シグマ受容体親和性を評価した。非放射性のハロゲン導入化合物として、最もシグマ-1受容体への高親和性を示したC 3NVのベンゼン環p位にヨウ素及び臭素を導入した化合物を作製し、評価を行った。その後、その放射標識体である[ 125 I]pIC 3NVを作製し、DU145ヒト前立腺癌細胞を用いた細胞取り込み実験、マウス体内放射能分布実験を行った。【結果・考察】C nNV (n = 0, 1, 2, 3, 4)を51-92%で合成することに成功し、合成したC nNV (n = 0, 1, 2, 3, 4)のうちn = 2, 3, 4において、(+)-vesamicolと同等、あるいはそれ以上のシグマ-1受容体親和性を示した。また、ハロゲンを導入することで、C 3NVは親和性の向上を示した(C 3NV : Ki (Sigma-1) = 6.9, Ki (Sigma-2) = 38.8、pBrC 3NV : Ki (Sigma-1) = 4.6, Ki (Sigma-2) = 11.8)。細胞取り込み実験の結果、[ 125 Fig. 2. Sigma-1 receptor ligandsI]pIC 3NVは癌細胞への高い取り込みを示し、シグマ受容体リガンドの過剰量同時曝露により、取り込みの低減を示した。ノーマルマウスにおける体内放射能分布実験の結果、シグマ受容体の発現に依存した集積を示し、シグマ受容体イメージングプローブとしての可能性を示した。今後、担癌モデルマウスを用いた体内放射能分布実験などを通して、更なる評価を行っていく。