ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BG-5応答曲面の関連性を利用した薬物配合錠の物性予測◯白鳥楓1、林祥弘1、大石卓弥1、辻貴大1、平井大二郎2、熊田俊吾2、小杉敦2、大貫義則( 1富山大学製剤設計学講座、2日医工株式会社)1【背景・目的】製剤は処方成分や製造工程といった様々な要因から構成されるとともに、有効性や安全性などに関する複数の製剤特性を同時に満たすことが要求される。応答曲面法は、設計変数と製剤物性の関係をモデル化する手法である。応答曲面法を適用することで、設計変数と製剤物性間の複雑な関係を可視化でき、最適な処方・工程変数の推定や、デザインスペースの構築を行える。錠剤物性はその配合する薬物によって大きく変化するが、配合する薬物が応答曲面の形状にどのような図1.プラゼボ錠における引張強度(硬度)の応答曲面.影響を及ぼすのか未だ不明瞭な点が多い。本研究では、プラセボ錠と薬物配合錠の応答曲面の関連性を詳細に評価した。さらに、プラセボ錠の応答曲面から薬物配合錠の応答曲面の予測を試みた。【方法】モデル薬物としてアセトアミノフェン、エテンザミド、ニコチン酸、ピリドキシン塩酸塩の4種類を用い、10%配合した。添加剤としてラクトース、コーンスターチ、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを配合した。設計変数はラクトース、コーンスターチ、結晶セルロース配合量とした。実験計画法に基づき添加剤配合率の異なる10処方を調製した。直接圧縮打錠法により錠剤を作製し、引張強度と崩壊時間を測定した。【結果・考察】応答曲面を作成した結果、引張強度は結晶セルロース配合量の高い領域で高く、崩壊時間は結晶セルロース配合量の高い領域とコーンスターチ配合量の高い領域で長いことが示された。応答曲面上の500処方の錠剤物性を抽出し、各添加剤配合比率におけるプラセボ錠と薬物配合錠の錠剤物性の関連性を評価した。その結果、いずれの薬物においてもプラセボ錠と薬物配合錠の応答曲面に相関性のあることが示された。プラセボ錠の応答曲面データと薬図2.プラセボ錠の応答曲面と薬物(API)配合錠の実験点からの予測方法のフローチャート(a)プラセボ錠と薬物配合錠との引張強度(TS)もしくは崩壊時間(DT)の関係から回帰直線を求めた。(b)薬物配合錠の錠剤物性を、プラセボ錠の回帰直線および応答曲面に基づいて予測した。(c)実験で得られた錠剤物性のデータと予測値を比較した。物配合錠2~4処方からモデル式を構築し、薬物配合錠の応答曲面の予測を行った。その結果、いずれの薬物配合錠についても引張強度および崩壊時間の応答曲面が高精度に予測された。したがって、引張強度または崩壊時間の応答曲面を作成するために必要な実験数を大幅に低減できる可能性が示された。