ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

ページ
109/140

このページは 第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部 の電子ブックに掲載されている109ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BG-6錠剤の処方設計を目的とした各種崩壊剤による崩壊特性の自己組織化マップ解析◯濵口雅史1、丸茂勇輝1、熊田俊吾2、平井大二郎2、小杉敦2、林祥弘1、大貫義則1(1富山大学製剤設計学講座、2日医工株式会社)【目的】近年の製剤開発では、Quality by Designの概念がますます重視されている。影響因子と製剤特性との因果関係を十分に理解し、その知見に基づいて高品質な製剤を恒久的に生産する処方や製造条件の設計を試みている。影響因子の中でも、崩壊剤は錠剤に配合される添加剤の中で、調製される製剤の崩壊性を決定づける重要な影響因子である。さらに、硬度などの特性にも強く影響することが知られている。崩壊剤としては、従来から、セルロース類をはじめとする数多くの物質が用いられているものの、これまでに、それら崩壊剤による錠剤特性への作用が十分に理解されたとは言い難い。そこで、本研究では錠剤の処方設計を目的とし、一般的に使用される11種類の崩壊剤の崩壊特性について詳細な検討を行った。【方法】モデル製剤として、種々の崩壊剤のほか、マンニトール(賦形剤)および結晶セルロース(結合剤)から構成され、薬物を含まないプラセボ錠を用いた。各種崩壊剤の添加量や打錠圧を変化させながら直接粉末圧縮法(直打法)によって調製した。それらモデル製剤の錠剤物性(崩壊時間および引張強度)を調製直後および無包装状態(25℃,65%RH)で1週間保存した後に測定した。また併せて各種錠剤特性(モデル錠剤の濡れ時間および吸水量、崩壊剤粉末の平均粒子径およびT2緩和時間など)を測定し、得られた実験データについてKohonenの自己組織化マップ(SOM)によるクラスター解析を行った。【結果】モデル製剤の錠剤特性は配合する崩壊剤の種類によって様々な挙動を示した。例えば、崩壊剤量の増加や、打圧の低下、無包装条件での1週間の保存に伴って、崩壊時間は短縮し、引張強度は低下する傾向が認められた。また、T2緩和時間の測定結果から、コリドンおよびポリプラスドンといったクロスポピドンのT2は長く、他に比べて水との相互作用が弱いことが示された。続いて、各崩壊剤を配合したモデル製剤の錠剤特性を用いてSOMクラスタリングを行ったところ、実験データは、錠剤特性の類似性に応じて4つの特徴的なクラスターに分類された。さらに、それぞれのクラスターの錠剤特性を比較することで、各クラスターの特徴が明確になった。さらに、SOM要素マップで錠剤特性と各種物性との関係を精査したところ、崩壊剤による吸水性が崩壊特性に影響する傾向が示された。得られた研究成果は、錠剤の処方設計を行う上で有用な知見になり得ると考えられる。