ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BG-7カルバニオンを経由する分子内環化反応の開発○江波侑季、吉村智之、松尾淳一(金沢大院医薬保)【背景・目的】Hajos-ParrishケトンやWieland-Miescherケトンに代表される四級炭素を含む二環性化合物は不斉合成素子として多くの天然物の合成に利用されている。そのため四級炭素含有二環性化合物の合成法が現在でも多く報告されている。今回、連続四置換炭素含有ビシクロ[4.3.0]オクテン2の構築に、σ-対称ハロビニルジケトンより発生させたカルバニオンの分子内環化を利用する新規合成法の開発を目的に研究を行った。【方法】市販のethyl propiolateから位置および立体選択的ハロゲン化水素化、エステルの還元と続くアルコールのヨウ素化により合成した(Z)-1-halo-3-iodoprop-1-eneを用いて2-methyl-1,3-cyclohexanedioneをアルキル化し、反応前駆体σ-対称ハロビニルジケトン1を合成する。これに対し、リチウム‐ハロゲン交換に用いるアルキルリチウム種や、金属リチウム、溶媒、反応温度等について詳細に検討を行い環化反応の最適条件を見出す。【結果・考察】はじめに,臭素体1a (X = Br)を用いてカルバニオンの分子内環化を検討した。ケトンへのアルキルリチウムの付加が懸念されたため、lithium naphthalenideを用いる還元条件でカルバニオンを発生させ反応を行った。検討の結果THF中、?78 ?Cで反応を行うことで2が単一のジアステレオマーとして10%得られた(Table 1, entry 1)。次いで溶媒をTHFに固定し収率の改善を目的にアルキルリチウムを用いるリチウム?ハロゲン交換反応によるカルバニオン発生での分子内環化を検討した。しかし、種々のリチウムアルキル種を用いて反応を行っても所望の環化体2は得られなかった(entry 2)。そこで、よりリチウム?ハロゲン交換が速く起こるヨウ素体1b (X = I )を用いて検討を行った。反応条件を精査したところ、?78 ?Cでt-BuLiを3当量用いると反応が速やかに進行し、目的とする四級炭素含有二環性化合物2が収率81%で得られることがわかった(entry 3)。今後は1から生成するカルバニオンの位置選択的分子内求核付加反応により非対称化を行い、キラルな四級炭素含有二環性化合物を合成する。