ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BG-8ジビニルカルビノールの不斉エポキシ化を利用した天然アセチルコリンエステラーゼ阻害活性物質の全合成と構造決定◯杉本健士・坂井晴香・高山亜紀・松谷裕二(富山大院薬)【背景・目的】近年、長鎖脂肪鎖上に孤立したヒドロキシル基を有する生物活性天然物が報告されてきている(Figure 1)。その構造上の特性から、これらの化合物は結晶性に乏しいため、X線結晶構造解析は適用しにくく、その不斉炭素の絶対立体化学の決定には1 H NMRの磁気異方性効果を用いたジアステレオマー解析法に頼ることとなるが、ヒドロキシル基周辺の環境に大きな差異が認められない場合、その解釈が難しいのが現状であり、絶対立体化学が未決定の化合物も存在する。そこで我々は、天然アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有するにもかかわらず未だ絶対立体化学の決定されていない1 1について、その絶対立体化学を簡便かつ確実に明らかとし、多様な誘導体の提供を可能とする全合成経路の開拓を目指すこととした。COOHOHOHOH1: [α] 25 D +23.2 (CHCl 3 ) 8'-multijuguinolOSO 3 NaSharplessasymmetricepoxidationOAc OAcOHOAcyakushinamide BFigure 1masked olefin【計画】不斉合成素子として、ジビニルカルビノール(2)のSharpless不斉エポキシ化2により得られる光学活性エポキシアルコール3を選択した。この3は、不斉誘起のメカニズム上、必然的に高い光学純度で入手できる2cことに加え、エポキシドを「オレフィンの保護基」OH2masked*OH3Oとみなす3ことで、オレフィンを足がかりとする同一の手法で2の両端に化学修飾が可能であると期待した(Scheme 1)。*OHTMScheme 1これを踏まえ、(R)-1について以下のScheme 2に示す逆合成解析を行った。TM = transition metal*OHOTMNNCOOMe*OHMeOHOunmaskedRCOOHOHOOOOH(R)-1P: protective groupOP4O+OOO7OP6OP5OPO8 9Scheme 2+OPOOH2【結果】文献記載の方法を参考に、高光学純度のエポキシアルコール9を調製し、逆合成解析に則り全合成研究を進めた結果、(R)-1の初の不斉全合成を達成した。その比旋光度は[α] D 17 +22.9 (c0.98, CHCl 3 )であり、報告値と良い一致が見られたため、1の絶対立体化学をRと決定した。1 M. N. Akhtar, K. W. Lam, F. Abas, Maulidiani, S. Ahmad, S. A. A. Shah, Atta-ur-Rahman, M. I. Choudhary, N. H. Lajis,Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005, 7, 4133?4136. 2a S. Hatakeyama, K. Sakurai, S. Takano, Tetrahedron Lett. 1986, 27, 4485?4488.2b B. Hafele, D. Schroter, V. Jager, Angew. Chem. Int. Ed. 1986, 25, 87?89. 2c S. L. Schreiber, T. S. Schreiber, D. B. Smith, J. Am.Chem. Soc. 1987, 109, 1525?1529. 3 M. G. Martin, B. Ganem. Tetrahedron Lett. 1984, 25, 251?254.