ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

1-2官能試験による10%リドカイン軟膏の調製方法の検討○田端志帆、吉村真理、山下慎司、斎木明子、矢野良一、塚本仁、後藤伸之福井大学医学部附属病院薬剤部【目的】院内製剤である10%リドカイン軟膏を処方された患者より使用途中にざらつきが生じたとの訴えがあったことから、その原因の究明および調製方法の改良ポイントを抽出することを目的に官能試験による評価を行った。【方法】調製方法ついて、1リドカインの溶解温度(室温と60℃加温)、2リドカイン溶解液とマクロゴールの混合方法(ゴムベラ混合と軟膏混合機使用)3リドカイン軟膏の保管条件(室温と冷所)に着目し、1~3の条件の組み合わせが異なる8サンプルを調製した。5週間に渡り1週間毎に薬剤師4名で官能試験(視覚評価、触覚評価)を行い比較した。視覚評価は、リドカイン軟膏2gをアクリル板で挟んで均一に伸ばし、光源下で軟膏内のリドカイン粒子の数とその大きさを目視で観察した。触覚評価は、リドカイン軟膏0.5gを指や手のひらで、ざらつき感の有無、質感(7段階)、使用感(6段階)を点数化した。【結果】視覚評価では、リドカインの細かな結晶は常に観察でき、ゴムベラ混合サンプルでは粒子の偏りが目立つ傾向が見られた。リドカインの室温溶解サンプル、冷所保存サンプルにおいては、粒子の大きさが目立つ傾向にあった。触覚評価の点数付けは、評価者間のバラつきが大きく、品質評価の指標とすることはできなかった。【考察】10%リドカイン軟膏は、溶解度の低いリドカインを10%という高濃度で含有するため、リドカインの溶解方法およびリドカイン溶解液の混合方法がポイントとなると考えられた。今回の結果より、軟膏内のリドカイン粒子の偏りが生じない調製方法として、リドカインの60℃加温溶解と機械を用いた混合が有効と考えられた。触覚評価の点数付けで評価することはできなかったものの、冷所保存サンプルにおいて、ざらつきは感じないが体温ですぐに消えてしまう程度の粒子を目視でとらえることがあった。今回ざらつきの訴えがあったものと同じLotの製剤を使用している他の患者からは、同様の訴えはなかったことから、冬の寒い時期であったこと、患者宅の保管場所の温度が低くなっていた影響なども考えられた。【結語】リドカイン軟膏の調製方法について見直しを行い、官能試験の評価により改良すべきポイントを抽出することができた。また、保管の際の注意事項についても明らかにすることができた。