ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

1-8SAP療法の導入効果について○水野賀夫、高嶋孝次郎福井県済生会病院薬剤部【目的】2015年2月、日本メドトロニック社から日本初のパーソナルCGM機能搭載インスリンポンプ「ミニメド620G」(SAP)が発売され、1型糖尿病患者を中心にインスリンポンプを使用する患者が急速に増加し、現在では約8,000名(620G:約4500名、そのうちSAP:約2,500名)に迫る勢いとなっている。STAR3試験(2010年)やReal Trend試験(2009年)では、SAPを使用した方がHbA1cが改善されることが示され、更にパーソナルCGMの使用率が高いほどHbA1cが改善されることが示された。今回、当院SAP使用患者に対する導入効果を確認するため、SAP療法の有効性について調査を行ったので報告する。【方法】当院でインスリンポンプ「ミニメド620G」を使用している患者5名のうち、リアルタイムCGMセンサを併用している1型糖尿病患者3名(成人及び小児)について、平均センサグルコース値、HbA1c、一日における低血糖時間の平均を用いて評価した。【結果】SAP導入(ⅰ)直後、(ⅱ)3ヶ月後の「平均センサグルコース値」は、症例1(ⅰ)187±62mg/dL(ⅱ)190±58mg/dL、症例2(ⅰ)126±33mg/dL(ⅱ)125±30mg/dL、症例3(ⅰ)147±52mg/dL(ⅱ)154±47mg/dL。「HbA1c」は、症例1(ⅰ)15.1%(ⅱ)8.1%、症例2(ⅰ)14%(ⅱ)5.7%、症例3(ⅰ)8.1%(ⅱ)7.8%。「一日における低血糖時間の平均」は、3症例とも、70 mg/dL以下、60 mg/dL以下、50 mg/dL以下のどのレベルにおいても改善傾向が見られた。【考察】今回の調査では、平均センサグルコース値に大きな改善は認められなかったが、変動のばらつきの改善は示唆されており、HbA1cの改善も確認することができた。一日における低血糖時間の平均では、どの症例も導入直後と3カ月後を比較すると、3ヶ月後の値が大幅に改善されていることが確認できた。ただし、今回、症例数が3例と少なかったために、さらなる症例数の確保が必要である。また、インスリンポンプ自体の認知度の低さや、成人での経済的負担、フリースタイルリブレの登場で、SAP使用患者数の推移がどのようになっていくか注視していくことも必要であると思われた。