ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

2-4当院における経口抗菌薬処方動向調査の考察と今後の課題〇野田学、稲葉光俊独立行政法人地域医療機能推進機構若狭高浜病院薬剤科【目的】昨年我が国における薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが取りまとめられ、また本年6月には抗微生物薬適正使用の手引き第一版が策定され、抗微生物薬の適正使用が推進されているところである。当院において、静注抗菌薬の処方動向は把握できていたが、経口抗菌薬については把握できていなかった。この度その処方動向の調査および考察を行い、今後の課題を検討したので報告する。【方法】2013年度から2016年度における、当院での経口抗菌薬の総処方日数の年度毎の合計を算出した。処方データは電子カルテを用いて抽出した。28日以上の継続投与や2015年4月1日より開設された耳鼻咽喉科による処方を除いた日数も算出した。またAMR対策アクションプランで指標となっているマクロライド系、セフェム系、キノロン系のみにおける総処方日数も算出した。【結果】経口抗菌薬の総処方日数は年度によって増減の傾向が異なり、一定の傾向はみられなかった。しかし、28日以上の継続処方および耳鼻咽喉科を除いた結果では、総処方日数の毎年の減少がみられ、2013年度に比べて2016年度では24%減となった。処方動向は抗菌薬の種類別で異なっており、第3世代セフェム系、キノロン系、マクロライド系は減少傾向にあったが、ペニシリン系、2世代セフェム系は増加傾向にあった。特に第3世代セフェム系、キノロン系はそれぞれ2013年度に比べ2016年度では59%減、52%減となった。また、総処方日数の約半数を28日以上の継続処方が占めていることも分かった。【考察】処方数減の大きな要因としては、各医師の抗菌薬投与への経時的な意識の変化や医師の交代が考えられる。また、当科では2016年度初旬にアンチバイオグラムを初めて作成し、大腸菌に対するキノロン系の感受性が低いことを医師へ情報提供をした。2016年度のキノロン系の処方減や代案として提示した2世代セフェム系の処方増にはそれが関与していると考える。今後の課題としては、抗菌薬適正使用に対して意識の低い医師や非常勤医師への情報提供の在り方、長期投与への対応などが挙げられる。