ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

2-6経皮的冠動脈インターベンション後の抗血小板薬二剤併用療法における出血事象に関する調査○渡邉美樹、徳村博子、谷口仁孝、山本彩佳、千葉恵美子、坂井愛実、前田典子、水野稜子、松田恵理、石田佳子、小原祐子、加納みゆき福井循環器病院薬剤科【目的】経皮的冠動脈インターベンション(以下PCI)において、ステント留置予定患者やステント留置後にアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の併用(以下DAPT)をすることとされている。当院では、チエノピリジン系抗血小板薬としてプラスグレル又はクロピドグレルを使用している。両者は代謝経路の違いなどから血小板凝集抑制作用発現時間に差が認められるため、プラスグレルはクロピドグレルよりも出血リスクを上昇させるのではないかと仮定した。そこで当院において両者の出血事象に差が認められるか調査した。【方法】当院において2015年4月1日から2017年3月31日までの2年間にDAPT開始となった患者375名を対象とした。まず、プラスグレル群とクロピドグレル群で患者背景(年齢、性別、併用薬剤(プロトンポンプインヒビター又はH2ブロッカー、降圧剤、抗凝固薬)、ローディング投与、ヘパリンナトリウムの使用の有無を調査した。次に出血事象が確認された両群の各項目を比較し、解析を行った。【結果】プラスグレル群とクロピドグレル群の患者背景において差は見られたが、出血事象が確認された両群において有意差は見られなかった。また出血の内訳をTIMI出血基準で見ると、入院中両群においてmajor bleeding、minor bleedingに該当する事象及び重大ではないが臨床上無視できない出血事象はみられなかった。【考察】患者背景において、プラスグレルを服用している年齢層は比較的若かった。これは担当医師によって、高齢者、直接的経口抗凝固薬(DOAC)やワルファリン併用患者にクロピドグレルを使用する傾向があったと考えられた。またPCI施行時に抗血小板薬を服用していない患者に対して、プラスグレルが処方される傾向にあり、さらに出血を未然に防ぐために、ヘパリンナトリウムの使用量を調節していることも分かった。担当医師により出血を回避するための治療を行っていることも、出血事象が確認された両群での差が見られなかったことの一因と考えられた。今回知り得た情報から、さらに多面的に調査を続けていきたい。