ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-3注射抗がん剤の規格選択による薬剤費削減効果○澤崎加奈恵、白﨑由貴、西出洋志、坂井伸成、加藤秀明、宇野美津江、森富男福井県立病院薬剤部【目的】医療の高度化、高齢化社会の進展とともに医療費増大は社会的な問題となっている。入院医療費に占める薬剤料比率は約10%を占めており、薬剤費を削減することは医療費抑制に寄与すると考えられる。一方、複数規格を有する注射剤では、その組み合わせによっては同じ処方量でも薬剤費が異なることがある。高価な薬剤が多い注射抗がん剤では、処方量に応じて最も安価な組み合わせを選択することによる医療費削減効果は大きいと考えられる。このような中、当院では2016年の電子カルテシステム更新に伴い、最も安価な組み合わせの規格選択が可能となった。そこで、規格選択方法が薬剤費削減に及ぼした影響について評価したので報告する。【方法】福井県立病院において複数規格を採用している注射抗がん剤およびトシリズマブ、レボホリナートカルシウム計35剤を対象薬剤とし、2016年4月から2017年3月の処方データについて薬価で評価した。更新後のシステムで選択された規格の組み合わせと更新前のシステムでの規格の組み合わせとで差額の生じた処方を抽出し、その差額を算出した。各対象薬剤について、薬剤費削減率、差額、差額が生じた処方数を算出し、製品規格選択方法の変更が薬剤費に与える影響を検討した。【結果】差額が生じた薬剤は、対象薬剤35剤中30剤であった。対象期間における総差額は約1,200万円で、そのうちトラスツズマブ・エムタンシンが全体の約46%を占めていた。以下、トラスツズマブ、ベバシズマブ、オキサリプラチンの順に差額が大きかった。各薬剤費削減率は2.0%~37.1%であった。【考察】生じた差額は規格選択方法を変えたのみで処方内容に影響を与えることなく削減された薬剤費と考えられた。総差額の約46%を占めたトラスツズマブ・エムタンシンについて、差額が生じた処方数は30件で、他の対象薬剤と比較し、件数は少ないが、薬価が高額であることが差額に大きく影響していると考えられた。また、投与量の用量分布から、使用実態に基づいた規格の設定が薬剤費削減に有効であることも示唆された。