ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-4集中治療室におけるバンコマイシン血中濃度変動因子の探索○磯田和也、嶋田努、崔吉道金沢大学附属病院薬剤部【目的】我々は手術後に集中治療室(ICU)へ入室した症例において、血清クレアチニン値(Scr)の変化を伴わないのにも関わらず、定常状態におけるバンコマイシン(VCM)の血中濃度が上昇した症例を数例経験している。悪性腫瘍、肥満、熱傷、感染症などの病態は、VCMのクリアランスに影響を与えることが報告されているが、手術後にバンコマイシンのクリアランスが変化するといった報告はない。そこで、本研究ではICUにおいてVCMの投与が開始となった症例に対して、後方視的調査により、手術がVCM血中濃度変動因子であるか調査をした。【方法】調査対象:2012年4月1日~2015年4月31日までの間にVCM投与が行われたICU患者。調査項目:年齢、性別、診療科、手術の有無、術後経過日数、併用薬、VCM投与量、VCM血中濃度、血球数、CRP、UN、Scr、Na、K、Cl、AST、ALT、Alb除外基準:血中濃度測定回数が1回のみの患者、血中濃度測定時、10%以上のScrの変化が認められた患者、透析患者解析方法:VCM血中濃度変動に関連する検査項目について単変量解析を行った。なお、各検定における有意水準は5%とし、P<0.05を統計学的に有意差ありとした。本研究は金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得た上で実施している。【結果】92人の患者が抽出され、基準を満たす12人の患者を対象とし、解析を行った。単変量解析の結果、1ヶ月以内の手術歴がVCM血中濃度/投与量比(C/D比)の10%以上変化と有意に関連した(OR:24, 95%CI,1.14-505.193, p=0.041)。また、1ヶ月以内の手術歴がある患者では、手術歴のない患者として比較して、VCM C/D比の変化率が有意に大きかった(74%vs 6%, p=0.009)。【考察】VCM C/D比の上昇する要因として、1ヶ月以内の手術が関連していることが示唆された。炎症性サイトカインにより、VDMのクリアランスが変化することが報告されており、手術後の炎症反応の変化が、VCM C/D比の変化に影響していると考える。しかし、症例数が少なく、交絡を考慮した解析ができておらず、今後症例数を増やして検討する必要があると考えられた。