ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-6後発医薬品ヘパリン類似物質軟膏の適正使用情報収集の検討◯政田一樹1,末廣陽子1,坂田徳子1,古俵孝明1,矢野良一1,渡辺享平塚本仁1,後藤伸之11,2,12福井大学医学部附属病院薬剤部福井大学医学部附属病院医学研究支援センター【目的】先発医薬品から後発医薬品への切り替えを行う際は、切り替え後に不具合が生じないよう可能な限り情報を収集した上で製品を選択する必要がある。軟膏剤などの局所皮膚適用製剤を使用する際、患者の使用感はその効果にも影響を及ぼす重要に要因となる。しかし、局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインでは、「単位面積当たりの皮膚に適用される薬物量が同一である製剤を後発医薬品とする」とされ、主成分以外の物質による影響が大きい、べたつき感などの使用感や他の半固形製剤との混合に関する評価項目にはなく、承認申請情報にはない。そこで、今回、後発医薬品への切り替えの際の情報取集を目的として、展延性や粘稠性などの使用感について評価と臨床現場で頻用されている軟膏との混合試験を実施した。【方法】対象薬剤は、ヘパリン類似物質軟膏製剤とし、標準薬は先発医薬品であるヒルドイドRソフト軟膏、試験薬は後発医薬品4社とした。官能試験は、あらかじめ同意が得られた被験者13人を対象に官能検査通則(JIS Z9080)に従い、被験者の前腕内側にシートで塗布範囲を指定し、標準薬と試験薬を綿棒で小豆大程度採取し、塗布後5分以内に色・におい・皮膚刺激・展延性・粘稠性・快適性・を評価スケールに基づいて評価した。混合試験は、先発医薬品を含めた5社の製品をアンテベートR軟膏とアルメタR軟膏にそれぞれ混合した。手作業ならびに軟膏調剤・製剤器(なんこう練太郎NRJ-250)を用いて混合し、27℃並びに40℃条件下で1ヶ月間保存しブリーディングの有無を評価した。【結果】官能試験の結果、標準薬に比べ、すべての試験薬の色は明るかったが、においや皮膚刺激性は明らかな差はみられなかった。4社の試験薬のち2社の製品は標準薬に比べ展延性が高く、粘稠性が低い傾向にあった。標準薬と試験薬との間で快適性の評価に差はみられなかったが、最も快適性が高かったのは展延性が2番目に高い試験薬であった。混合試験の結果は、製剤間でブリーディングに違いが見られた。【考察】先発医薬品と各後発医薬品間において、においや皮膚刺激性はほぼ同等であり、添加物に差はあるものの製剤工夫がされ近い評価になったと考えられる。また、今回の結果からは展延性が高く、粘稠性が低い等、塗布時に伸びがよい製剤が高く評価されていた。混合試験は、製剤間でブリーディングに違いがあり、混合に関する情報は先発医薬品のものを流用出来ないと考えられる。承認申請情報にはない後発医薬品の製剤情報は、医療現場の薬剤師が情報構築し、医薬品の切り替えや患者に対する情報提供を行う必要性が再確認できた。