ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-8薬剤関連インシデントに関する薬剤科の取り組み○有賀絵里1、中田典江1、石井佐宏1富山協立病院薬剤科、2富山協立病院医局2【背景・目的】臨床現場で報告されるインシデントは全国的に薬剤関連のものが多く、当院でもインシデントの多くを占めている。当院では2012年度から電子カルテを導入し、システムが大きく変わったことで薬剤関連インシデントが増加したが、各部署でチェックシステムを再構築しダブルチェックの導入を行った事により2015年度までに大きく減少した。薬剤関連インシデントのさらなる減少を目指し2016年度より薬剤科が介入を開始したため報告する。【方法】2016年4月から2017年9月の期間において、電子カルテのインシデントシステムを用いて薬剤関連インシデント事例の集計および分析を行った。分析結果を各部署に報告すると共に、薬剤科で対策を検討することとした。【結果】当該期間の薬剤関連インシデントは102件であり、そのうち種類別では投与忘れ事例が最も多く25件(24.5%)であった。原因別ではダブルチェックの不備によるものが72件(70.5%)であった。また改善方法別ではダブルチェックの改善が必要なものが42件(41.2%)、部署内で見直しを行ったものは30件(29.4%)、薬剤科でサポートしたものが5件(4.9%)であった。【考察】インシデントの多くはダブルチェックの不備が原因となることがわかり、ダブルチェックの手技向上の必要性が示唆された。またインシデントの分析と並行して、2016年度より医療安全管理委員会主導で注射準備のダブルチェックを対象に院内巡視を実施している。それに伴いダブルチェックの院内マニュアルを作成し院内での周知を行った。これにより2017年9月までに薬剤関連インシデントは減少傾向にある。また改善策が部署内では困難な事例に対しては薬剤科で対応を行い、各部署の負担軽減につながっている。以上より薬剤科の介入によりインシデント事例を的確に分析しアドバイスする事が可能になり、インシデント減少に貢献できたと言える。【今後の課題】インシデントは一度減少しても再発するものであるため、繰り返しの啓蒙が必要と言える。薬剤科内では過去のインシデントの振り返りを月1回行い業務見直しにつながっているが、他部署への介入も必要である。また現在院内巡視を行わずマニュアルの配布だけにとどまっている部署への介入の検討と、ダブルチェック導入による業務負担の軽減が今後の課題である。