ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-9病院薬剤師の給料に関する一考察~薬剤師不足が公立病院薬剤師の給料に及ぼす悪影響について~○脇田真之、岡村吏華、吉井千菊、渡辺恵美、棚田真紀、星野智美、波能満理惠射水市民病院薬剤科【目的】公務員薬剤師の給料は医療職俸給表(二)が適用される国家公務員の給料に準じて支給される場合が多い。従って、6年制卒薬剤師の初任給についても医療職俸給表(二)2級15号俸(207,800円)を設定している自治体病院が多数ある。これは平成23年末の人事院規則の改正により定められたものであるが、この初任給の設定は4年制卒薬剤師の初任給である医療職俸給表(二)2級1号俸の3.5年勤務後に相当するものであり、実質的に6年制卒薬剤師に4年制卒薬剤師より実質1.5年のアドバンテージを認めたものとして評価された。しかしながら、薬剤師国家試験の合格率の低下や大学における留年等の在学期間の延長のため入職年齢が上昇することにより全国的に6年制卒薬剤師の初任給のアドバンテージは失われつつある。また多くの自治体病院では6年制卒薬剤師の昇格基準についても整備されておらず、6年制卒薬剤師の生涯賃金が4年制卒のそれを上回るかどうかについても疑問が残る。更に北陸地方のように病院薬剤師が不足する地域では、新規採用者の採用年齢上限の引き上げや、定年者の再雇用で対処せざるを得ないため、これが賃金や昇格に悪影響を及ぼす場合がある。そこで現在の公務員薬剤師の給与制度を元にシミュレーション等を行い、公務員薬剤師の給料について検討した。【方法】1.射水市職薬剤師の俸給表の運用を元に16年制卒薬剤師の初任給と昇格基準2中途採用者の給料設定3最終到達級の3項目について調査検討を行った。2.薬剤師不足が生涯賃金に与える影響について検討した。【結果・考察】射水市の場合、現時点で6年制卒薬剤師の給料は、初任給以外の昇格基準について4年制卒薬剤師との違いは示されていない。また中途採用者については、前歴換算されるものの入職時には俸給表の2級へ格付けされるため、実質賃金は大きく低下する。これらの制度については、他の自治体病院等についてもほぼ同様と思われる。また現給与制度においては、薬剤師不足は入職年齢の高齢化、在任職員の高齢化等から、昇任抑制等に繋がり、更なる実質賃金の低下を招くと考えられる。病院薬剤師の質向上には職種としての賃金向上が不可欠であり、病院薬剤師が連携して取り組んでいくべき課題だと考えている。