ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

3-11当院のポリファーマシーの対策と現状○佃隆元1、高口仁宏1、杉山喜久1、見附保彦2、津谷寛1独立行政法人国立病院機構あわら病院薬剤科2独立行政法人国立病院機構あわら病院医局2【緒言】超高齢社会である我が国では、高齢者医療の質の向上と医療費削減を推し進めていく必要がある。その方法の一つとして、ポリファーマシー問題の改善が重要であると考えられている。高齢の入院患者が多い当院では、病院全体の目標としてポリファーマシー問題の改善を掲げ、薬剤科でも取り組みを行ってきた。今回、その取り組みの現状と問題点について報告することとした。【方法】2016年10月より、患者入院時の持参薬について、スクリーニングとその内容の記録を行った。そして、持参薬報告書に薬剤数、服用期間等を記載した。加えて、日本老年医学会編「高齢の安全な薬物療法ガイドライン」等を参考として、投与が推奨されない薬剤を服用中である場合、その旨を報告した。また、薬剤科内で会議を開き、入院患者の服用薬剤について検討した。併せて、服用中の薬剤情報を医師に対して週1回情報提供し、必要に応じて処方提案を行った。患者退院時には、退院処方を確認し、その内容を記録した。入院時の持参薬スクリーニング記録と照らし合わせることによって評価を行い、可能であれば薬剤総合評価調整加算の取得も行った。【結果】2016年10月~2017年9月の1年間で、持参薬スクリーニングを行った529件(同一患者の複数回入院を含む)の内、退院時に1種類でも薬剤が減ったのは121件であった。減った薬剤に関して、特別な傾向は見いだせず、別の薬剤が追加となっているケースも見受けられた。薬剤総合評価調整加算の総算定数は18件であった(月平均1.5件)。【考察】今回、ポリファーマシー問題の改善に向けて1年間活動を行った。副作用等のリスクを事前に回避することを目的とした処方提案等の薬学的介入による目立った結果は未だ得られていない。対して、実際の薬剤が減った理由としては副作用の発現や、経口摂取不可となった等が多かった。薬剤を減らすことによって、多剤併用による薬剤関連有害事象発生を未然に防ぐというベネフィットが得られる。同時に、薬剤を減らすことによって、病状の悪化や、それに伴う看護・介護者の負担増加が発生するリスクもある。薬剤師が処方提案を行うにあたっては、上記のベネフィットとリスクとの十分な評価が重要であり、難解な問題であると考えられた。その実践には、患者、家族、他の医療スタッフと密接に関わっていく必要があり、今後の課題であると考えられた。