ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

AS-1機械刺激による自然免疫関連遺伝子の発現機構の解析○福嶋和貴(金大・院医薬保)、山田夏美(金大・医薬保)、川端真代(金大・医薬保)、堀亜紀(金大・院医薬保)、野中さおり(金大・院医薬保)、倉石貴透(金大・院医薬保)【背景・目的】自然免疫応答は、体内に侵入した病原体由来の分子構造を認識し、抗菌ペプチドやサイトカインの産生を通して病原体を排除する、生物種を超えて保存された生体防御機構である。しかし、近年、組織のがん化や損傷といった感染に依存しない自然免疫応答の活性化が報告されている。このような異常な自然免疫応答の活性化は、慢性炎症などの病気につながると考えられているが、その詳細なメカニズムは不明である。これまでに、ショウジョウバエ幼虫に機械的刺激を与えただけで、脂肪組織において抗菌ペプチドDrosomycinの発現がmRNAレベルで誘導されることが見いだされている。このメカニズムを調べることで、感染非依存の自然免疫活性化の解明につながると考え、解析した。【結果・考察】機械刺激依存のDrosomycin発現上昇に必要とされる転写因子探索のヒントを得るため、様々な部位を欠損させたDrosomycinプロモーターをもつショウジョウバエを作製し、機械的刺激を与えてその活性を測定した。その結果、5’側から566 bpの領域を欠損させた幼虫では機械的刺激によるプロモーター活性の上昇が見られたのに対し、999 bp欠損させた幼虫では上昇せず、567~999 bpのプロモーター領域がこの現象に必要であることがわかった。また、この領域はグラム陽性菌感染時には必要とされず、機械的刺激時には感染時とは異なるDrosomycinの発現メカニズムが働くことが示唆された。また、機械的刺激によるDrosomycinの発現上昇に関わる遺伝子を網羅的に探索するため、RNAiにより様々な遺伝子の発現を抑えたショウジョウバエを用いたゲノムワイドスクリーニングを行った。その結果、現在までにHayanのRNAiで機械刺激後のDrosomycinの発現上昇が抑えられることがわかり、この遺伝子がこの現象に関わる有力候補となっている。今後は、機械的刺激に必要とされるDrosomycinプロモーター領域をさらに絞り込み、転写因子候補を絞り込むと共に、ゲノムワイドスクリーニングを続け、転写因子以外の分子も含めたこの現象に関わる分子を探索していく。