ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BS-4T790M遺伝子変異型EGFRの検出を目的としたイメージングプローブの開発○曽福智貴(金沢大院医薬保)、小川数馬(金沢大新学術)、三代憲司(金沢大新学術)、西井龍一(放医研)、小谷明(金沢大院医薬保)【背景・目的】Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR)はある種のがんで過剰発現しており、EGFR TyrosineKinase (EGFR-TK)の活性化はがんの増殖に関与している。第一世代のEGFR-TK阻害薬であるゲフィチニブは、L858R遺伝子変異型EGFRが発現しているNon-Small Cell Lung Cancer (NSCLC)患者に対して高い治療効果を示す事が報告されている。しかし、ゲフィチニブが奏効した症例に於いても、ほぼ例外なくがん細胞が薬剤耐性を獲得し再発することが知られている。高頻度な獲得耐性因子はT790M二次的遺伝子変異であり、近年L858R/T790M遺伝子変異型EGFRをターゲットとした第三世代のEGFR-TK阻害薬であるオシメルチニブが本邦でも承認された。これらEGFR-TK阻害薬はEGFRの遺伝子変異によって治療効果が大きく変わるため、治療方針を決定する上で遺伝子変異の検査が必須となる。本研究は、画像診断によりEGFRの遺伝子変異を非侵襲的に判別し、オシメルチニブの治療効果を予測するためのイメージングプローブを開発することを目的とする。【方法】リード化合物としてオシメルチニブを用い、非放射性ヨウ素あるいは臭素をオシメルチニブに導入した非放射性ハロゲン導入オシメルチニブ誘導体(Fig. 1)を2種類合成した。放射標識前駆体として、ハロゲン導入部位にトリブチルスズ基を導入した化合物を合成し、トリブチルスズ基と放射性ハロゲンとの置換反応で、上記の非放射性ハロゲン誘導体に対応する125 I-Osimertinibと77 Br-Osimertinibを合成した。次いで、合成した放射標識体のオクタノール/水分配係数を測定した。また、放射標識体の0.1Mリン酸緩衝Fig. 1. Structure of I-Osimertinib and Br-Osimertinib液(pH7.4)中での安定性試験を行った。【結果・考察】8ステップで合成した芳香族アミンを、2ステップで合成した非放射性ヨウ素あるいは臭素を導入したクロロピリミジン誘導体とカップリングすることで、非放射性ハロゲン導入オシメルチニブ誘導体2種を総収率11-22%で合成することに成功した。125 I-Osimertinibおよび77 Br-Osimertinibをそれぞれ放射化学的収率45.6%及び45.0%、放射化学的純度95%以上で合成することに成功した。125 I-Osimertinibの分配係数log P値は2.64±0.11であった。125 I-Osimertinibは0.1 Mリン酸緩衝液(pH7.4)中37oCでインキュベートした結果、24時間後に83.5±3.6%が未変化体として観察された。現在、合成した2種の放射標識体について、細胞取り込み実験、マウスにおける体内放射能分布実験を通して、オシメルチニブの治療効果予測剤としての可能性の検討を進めている。