ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BS-10スピロシクロプロパンからのアスピドスペルミジンの短工程合成○田村貴史,南部寿則,矢倉隆之(富山大院薬)【背景・目的】インドールアルカロイドの一種であるAspidospermaアルカロイドは,数多くの種類が天然物として存在している。また,これらの化合物は複雑な五環式骨格を持ち,多くは興味深い生物活性を有している。このような複雑な構造と興味深い生物活性から,Aspidospermaアルカロイドの最も単純な構造を持つaspidospermidine(1)は合成ターゲットとして多くの研究者から注目されている。最近我々は,シクロヘキサン-1,3-ジオン-2-スピロシクロプロパン2にアミンを作用させると,シクロプロパンの開裂に続く環化反応が進行し,テトラヒドロインドール-4-オン3が収率よく得られることを見出した。1)さらに,3の5, 7位への位置選択的アルキル化反応も見出している。2)本研究では,これらの反応を用いる1の短工程合成を目的とする。【方法・結果】市販の1,3-シクロヘキサンジオン(4)からスピロシクロプロパン5を合成し,3) 5に3-アミノ-1-プロパノールを反応させると,目的の環化体2aが収率良く得られた。ヒドロキシ基を臭素化後,リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)を塩基として用いると,7位での分子内アルキル化が進行して三環式化合物6が得られた。再びLiHMDSを用い,ヨウ化エチルを作用させると,位置選択的に7位へエチル基が導入され,エナミノン7が得られた。続いて,7の立体選択的水素化により,文献既知の合成鍵中間体Stork ketone 8 4)への変換を達成した。文献記載の方法4b)に従いFischerインドール合成を用いて1の全合成を達成した。本合成ルートは短工程で非常に効率の良い方法である。1) Nambu H., Fukumoto M., Hirota W., Yakura T., Org. Lett., 16, 4012 (2014).2) Nambu H., Hirota W., Fukumoto M., Tamura T., Yakura T., Chem. Eur. J., in press.3) Nambu H., Ono N., Hirota W., Fukumoto M., Yakura T., Chem. Pharm. Bull., 64, 1763 (2016).4) (a) Gnecco D. et al., ARKIVOC, xi, 185 (2003). (b) Zard S. Z. et al., Org. Lett., 8, 831 (2006).