ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BS-11モノケトン型基質のConia-ene反応を効率化する新規触媒系の開発〇村上幸浩、内山正彦(金沢大院医薬保)【背景・目的】Conia-ene反応は分子内の適当な位置にアルキンやアルケン部分を持つ、エノール化が可能なカルボニル化合物の熱的ペリ環状ene反応である(Scheme 1)。従来本反応は熱反応(200~400℃)として知られてきたが、近年、種々の金属Lewis酸触媒を用いることで、より穏和な条件下で反応が進行することが多数報告されている。しかし、これら既知の方法のほとんどは、マロン酸エステルやβ-ケトエステル、 1,3-ジケトンなどのエノール化しやすい反応基質に限られており、比較的エノール化しにくいモノケトン型基質に適用可能な方法は非常に少ない。また、これら手法では、貴金属触媒や強い酸を用いるといった問題点があることから、コストや反応条件の穏やかさの点でより優れた新規触媒系の開発が望まれている。当研究室では、これまでにCu(I)とGa(III)から成る協働触媒系がβ-ケトエステルなどの1,3-ジカルボニル型基質のConia-ene反応を穏和な条件下で効率良く進行させることを見出している。 1)その際に得られた知見から、モノケトン型基質においてもエノール化の問題をクリアできれば、Cu(I)触媒によってConia-ene反応が効率良く進行するのではないかと考えた。そこで今回我々は、エノールと同様に求核性を持つエナミンに着目し、Cu(I)触媒とアミン触媒の協働作用によるモノケトン型基質のConia-ene反応について検討することとした。【方法・結果】反応基質としてモノケトン体1aを選択し、アミン触媒としてピロリジン、金属Lewis酸触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)とトリフェニルホスフィンから系内で調製したCu(I)触媒を用いてメタノール中で反応を行ったところ、室温にて反応は速やかに進行し、対応する環化成績体2aが高収率で得られた(Scheme 2)。本反応が穏和な条件で進行するためにはピロリジンとCu(I)触媒の両方が必須であったことから、この結果はアミン触媒とCu(I)触媒の協働作用によるものであると考えられる。本反応の基質一般性など、詳細については現在検討中である。【参考文献】1)鈴木康祐、内山正彦、日本薬学会北陸支部第127回例会、例会要旨BS-2.