ブックタイトル第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

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概要

第129回例会プログラム集 - 日本薬学会北陸支部

BS-13漢方生薬「麻黄」原植物の研究-DNA配列に基づく簡易鑑別法とアルカロイドの局在について-○草場大作、北村雅史、安藤広和、佐々木陽平(金沢大薬)【背景・目的】漢方生薬「麻黄」は現在,その供給を100%中国に依存している.日本では各地で原植物の栽培研究が進められているが,日本薬局方の規定である総アルカロイド(e p h e d r i n e及びP s e u d e p h e d r i n e)含量0 . 7%以上を達成することは極めて困難である.また,これまでにE p h e d r a属植物であるEp-13に含まれるアルカロイドには局在性があることを明らかにした.そこで本研究では, 1同一株内におけるアルカロイドの局在性を,局方収載品のE p h e d r a属植物を用いて調査した.さらに,これまで時間を要していたD N A解析法によるE p h e d r a属植物の鑑別に関して, 2 L A M P法を用いたE . s i n i c aの簡易鑑別法を検討した.【材料】金沢大学医薬保健学域薬学類・創薬科学類附属薬用植物園にて栽培している, E . s i n i c a(検討1 ,検討2), E . i n t e r m e d i a(1, 2), Ep-13(1 , 2),E . e q u i s e t i n a(2), E . d i s t a c h y a(2).【方法】1草質茎を1株から5検体,株元から採取した.採取した草質茎は[ A ]先端から5 c m,[ B ]基部から5 c m,[ C ]は[ A ]と[ B ]の間,に分けてアルカロイド含量をH P L C法で分析した. 2 E p h e d r a属植物のD NAを抽出し,葉緑体D N Aであるt r n L / F領域に存在するE . s i n i c aに特異的な配列をもとに, L A M Pプライマーを作製した.反応と定量にはリアルタイムP C R装置を用い,等温増幅反応(66℃, 5 0分)で行った.【結果・考察】1検討を行った全ての種において,草質茎の[ C ]中間部分が,[ A ]先端から5 c mの部分, [ B ]基部から5 c mの部分よりも有意に高いアルカロイド含量を示した.よって, E p h e d r a属植物のアルカロイドは,草質茎の中間部分に局在することが明らかになった.このことから,今後E p h e d r a属植物の国内生産を進めていくうえで,収穫の際に草質茎の先端,基部を切断することで,高いアルカロイド含量の収穫物を得ることができ,局方の規定値を満たすことができると期待される. 2反応系に添加するDNA濃度を検討した結果, E p h e d r a属植物の中でE. s i n i c aのみが, D N A量0 . 1 n gで分析開始から30分以内に, 1 . 0 n gで20分以内に増幅が確認されることを明らかにした.また,感度は一般的なP C Rと同程度,もしくはそれ以上であることを明らかにした.よって,本法を用いることで,従来のP C Rを用いたDNA解析に比べて短時間かつ高感度でE p h e d r a属植物からE . s i n i c aを鑑別することが可能になった.