学術講演会
本会は日本薬学会関東支部 川邉武史支部長のもと、対面形式にて開催されました。医薬品Chemistry, Manufacturing and Control(CMC)研究の分析・評価技術にフォーカスし、国内の第一線で分析研究に取り組む先生方に技術軸とモダリティ軸の二部制にて、計6題をご講演いただきました。
今日、低分子、抗体、核酸などの多用なモダリティ医薬品の研究開発が進んでいます。いずれのモダリティにおいても、治験薬や製品の効果と安全性は品質により担保されます。その品質や研究開発のスピードはCMC研究における技術力によって決定されます。それゆえ、有用な医薬品を一日も早く創出するために、企業のCMC部門には、開発期間を短縮しつつ、高質な医薬品を創出するために、既存技術の改善や新技術の開発が求められ続けています。このような背景を踏まえ、本講演会では、医薬品CMC研究の分析・評価技術にフォーカスし、CMCさらには創薬をリードするための分析・評価技術の開発の現状、課題や今後の展望等につき、議論しました。
第一部(技術軸)では、野田陽先生は安定性予測及びHPLCピークデコンボリューションにおけるベイズ推論の有用性と実利用にあたっての留意点を紹介されました。三輪勝彦先生はクロマトプロセスの“仕組み化”技術の事例とその効果を紹介されました。江奈英里先生は核磁気共鳴による構造解析・定量分析・固体分析等の多岐に渡る活用事例を紹介されました。
第二部(モダリティ軸)では、川瀬直樹先生は質量分析法による抗体の翻訳後修飾率の評価、宿主細胞由来タンパク質の特性解析事例等を紹介されました。大橋潤二先生は抗体薬物複合体の開発を支える品質評価技術を紹介いただくとともに将来展望を紹介されました。最後に山本武範先生はmRNA医薬の品質評価項目及び分析手法を整理・解説するとともに、品質評価における留意点と課題を紹介されました。時間が限られていたものの、活発な質疑応答がありました。本会が、今後の我が国における医薬品研究開発の更なる発展に繋がることを期待しております。
第48回学術講演会実行委員長 山本 栄一(国立医薬品食品衛生研究所医療機器部)
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