学術講演会
2021年11月27日(土)の午後、日本薬学会関東支部 本間真人支部長のもと、第46回学術講演会がオンラインにて開催されました。今回のテーマは「医療を支える生命科学の最前線」であり、医療技術の開発を目指して最前線でご活躍されている先生方(5名)にご講演いただきました。
最初の講演は横山雄太助教(慶應義塾大学薬学部)による「薬局および在宅での微量血液によるdried blood spot (DBS) 法を用いたTDMおよび遺伝子多型解析の実施に向けた基礎的検討」であり、薬局や居宅における微量採血法を用いた DBS 法による TDM および遺伝子多型解析を用いた薬物療法の最適化に向けた研究成果が報告されました。
次に鈴木陽介講師(明治薬科大学)による「内在性バイオマーカーを活用した病態時の薬物動態の評価」ではCYP3A と organic anion transporting polypeptide(OATP)1Bの内在性バイオマーカーを利用した病態時の薬物動態の個人差に関する研究成果が報告されました。
さらに高田龍平講師(東京大学医学部附属病院薬剤部)による「尿酸トランスポーターと高尿酸血症・痛風の薬物治療」ではABCG2による尿酸動態制御機構の解明及びABCG2 と薬物との相互作用の解析に関する研究成果が報告されました。
また、福地守教授(高崎健康福祉大学 薬学部)による「脳由来神経栄養因子(BDNF)に着目した抗認知症戦略の構築を目指して」と題する講演では、BDNF 発現の変化を計測・可視化することを目的に作成したトランスジェニックマウス「BDNF-Luc マウス」を紹介いただき、認知症の治療や予防のための抗認知症戦略についてご披露頂いた。
最後に畠山浩人准教授(千葉大学大学院薬学研究院)は、がん細胞の温度応答性、温熱耐性メカニズムについて研究成果を交えながらご紹介いただき、がん治療への展開についても発表頂いた。
今回の講演会は、首都圏の国公立、理系私立大学教員の皆様のご協力を賜り、92名の学部生並びに臨床で働いている薬剤師が参加し、各先生方の魅力あるプレゼンテーションを満喫し、たいへん有意義な時間を過ごしていただけました。今回の講演会では、前半3演題において患者に対して最適な医療を提供するための個別化医療を臨床現場に近い立場で検討している研究者から、後半2演題では診断・治療技術に関する基礎研究を実施している研究者からご講演をいただきました。本講演会を通じて多くの方が最適な医療の実現を支える生命科学に興味を持ち、自身の抱える課題解決への糸口を見つけ出すと共に、今後の医療を支える研究者としてのさらなるご活躍につなげて頂ければ幸いです。
最後になりましたが、本講演会の開催をご承認いただきました本間真人支部長、講演をご快諾いただきました5名の先生方、及び座長をお引き受けいただきました2名の先生方 [長嶺歩先生(高崎健康福祉大学)、高橋雄太先生(高崎健康福祉大学)]、並びに本講演会の企画、準備、並びに当日の運営においてご理解ご協力賜りました西島明子事務職員はじめ関係者の皆様に心から感謝の意を表します。
第46回学術講演会実行委員長 山本 康次郎
(群馬大学大学院医学系研究科 教授、群馬大学医学部附属病院 薬剤部長)
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