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この度日本薬学会関東支部長に就任しました国立医薬品食品衛生研究所川西徹です。薬学会の支部の中で最も会員数の多い支部の長ということで、身の引き締まる思いでありますが、就任にあたり一言挨拶させていただきます。
薬学を巡る環境は徐々にではありますが、大きくかわりつつあるように思います。その背景としては、第一に薬学がその養成を担っている薬剤師の役割への期待の変化、第二に日本の薬学が人材養成を担ってきたもう一つの領域である創薬の手法の変化、の二つがあげられるかと思います。薬学部に6年制が導入され10年余が経過し、医薬品の専門家としての薬剤師の役割への期待が高まるとともに、その実力が試されるようになっております。地域住民の健康支援・相談対応等を行う「かかりつけ薬局」を担う薬剤師になるには、専門的知識とともに相談に対応する技術も必要となり、薬学部もこのような薬剤師を養成する役割を期待されております。一方で4年制薬学は、企業等に就職し創薬研究・開発を担う人材の基礎的な教育を主な目的としていましたが、製薬企業は即戦力となる多様な人材を求めるようになり、基礎的研究に重点をおいた4年制薬学の研究・教育と解離する傾向があるようにみえます。
このような薬学を巡る環境の変化も考慮にいれながら、関東支部では平成29年度は以下のような企画を予定しております。まずは多くの支部会員の皆様に研究成果等を発表していただく機会として「第61回関東支部大会:創薬研究の新しい潮流」、および若手研究者に企画していただく同時開催の「第10回若手シンポジウム:バリア制御がもたらす薬物治療の新展開」(9/16 (土)慶應義塾大学芝共立キャンパス)を開催します。前者はシンポジウムでは主にアカデミア創薬に関連するような課題をとりあげますが、一般演題(ポスター・口演)も募集します。近年薬学部学生の発表が増加しているとも伺います。どうか卒業研究の発表の場としても多いに活用していただきたいと思います。なお支部大会では、基礎薬学および医療薬学において優れた業績を挙げた若手研究者に対する「関東支部奨励賞」の表彰も行っており、若手関東支部会員(41才未満で過去3年間以上継続して関東支部に所属)からの募集を行っております。応募締め切りは5月末日ですので、募集要項をご覧いただき奮って応募ください。次に学術的な企画としては第42回学術講演会:ナノDDSを支える科学(12/7 (木)長井記念ホール)を開催します。近年開発が活発化しているDDS製剤の腫瘍への集積メカニズム:EPR効果の提唱者である前田浩先生(熊本大学名誉教授・崇城大学教授)のご講演を中心に、ドラッグデリバリーの科学をトピックします。加えて、薬剤師向けの企画として、今年度も薬剤師向け研修講習会(10/15 (日)前橋市民文化会館)を実施致します。
一方、関東支部が長年に渡り主催してきました一般の方々を対象にした「市民講座」については、くすりと健康2017春季講演会(5/20 (土)長井記念ホール)、くすりと健康2017秋季講演会(10/14 (土)長井記念ホール)の2回、開催致します。さらに若いころから薬学に興味を持ってもらえるように、過去大変好評をいただいている主に小学生を対象とした「子ども実験企画:微生物は はたらきもの」も7月27日(木)に協和醗酵キリン(高崎市)で行います。
なお、予算等の許す限り、会員の皆様からご提案いただいた企画も取り上げることができたらと考えております。ご希望がありましたら、5月末頃までに関東支部事務局までご一報いただけましたら幸いです。いずれにしても、支部会員の皆様ならびに幹事の皆様におかれましては、支部活動についてご理解とご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
平成29年4月吉日
日本薬学会関東支部長 川西 徹
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