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このたび、日本薬学会関東支部支部長に就任しました慶應義塾薬学部の須貝 威と申します。就任にあたりご挨拶を申し上げます。
日本薬学会は、エフェドリンを発見し化学構造を世界にさきがけて明らかにした、長井長義博士を初代会頭として「薬品を可及的速やかに人体に吸収されやすい形に変えること、生薬の有効成分を明らかにすること、化学合成技術を駆使して薬品を創製することを以て、世界に日本薬学を雄飛させよ」を当初のスローガンに、1880年(明治13年)に設立された、日本で最も長い歴史を持つ学会のひとつです。
現在は約15,000名の会員数を擁し「薬学に関する学術の進歩および普及をはかり、薬学関係者・会員の研究成果の発表および研修をする機会を提供し、もって学術文化の発展に寄与する」ことを目的に、医薬品の適正使用を推進する病院や薬局の薬剤師、薬事行政を監視する規制当局に加え、創薬研究に係る研究者や製薬企業、薬学研究者や薬剤師を養成するアカデミア、など種々の専門家によって構成されています。日本の薬学関連事項を広範に網羅し、医薬品や薬剤師に社会や国民が大きな関心を寄せている状況において、「創薬」と「育薬」に関連して発生するあらゆる課題や問題点に対処すべく、重要な責任を担っています。
日本薬学会は全国を8つの地域に分け、それぞれを支部として、ボトムアップ的にも活発に活動しています。その中で関東甲信越地区をカバーする関東支部は、全国の会員全体の約半数を占める最大規模をもち、さまざまな役割を担い、事業を実施しています。COVID-19の蔓延により、近年は支部事業の多くも、関係諸氏、事務局のご尽力により、オンラインやハイブリッドで開催されました。2022年度も予断を許しませんが、関東支部では一般・学生会員向けに「第66回日本薬学会関東支部大会・若手シンポジウム」(9月17日、横浜薬科大学)、「第47回学術講演会」(11月26日、北里大学)を開催いたします。各分野の最新知識を共有するとともに、研究成果発表の場として、特に学生・大学院学生や若手教員・研究者の積極的な参加を期待しています。一方、「薬剤師向け研修講演会」(筑波大学)は会員以外の薬剤師にも参加できる機会として計画しております。一般市民の皆様に対しては、健康増進や薬物治療へ対する関心を高めていただきたく、市民講演会「くすりと健康2022」(6月11日、日本薬学会長井記念ホール)を予定しています。さらに、未来の薬学を担う人材育成を目的に「子ども実験企画」を夏休み期間中に計画しています。
そして、基礎薬学または医療薬学(臨床薬学を含む)に関する優れた研究業績を挙げた若手研究者に対し、支部奨励賞を授賞し、支部大会では学生による優秀な発表を表彰してまいりました。会員の皆様におかれましては支部大会等の各種活動へ、積極的にご参加いただくとともに、お知り合いや関係する方々にも広くご案内いただけますようお願いいたします。
本年度支部長をつとめる須貝は、大学は農学系で有機化学を学び、その後長らく理工系で研究に従事、2007年の秋に遅まきながら日本薬学会に入会いたしました。その翌年から現職にて、主に低学年の基礎教育や実習(実験)担当の一員として携わっておりますが、創薬育薬や実務の経験は乏しく、薬学教育・研究とも、まだまだ経験不足でございます。これまで、日本農芸化学会や有機合成化学協会の関東支部長をつとめて参りましたが、昨年度一年間、薬学会関東支部副支部長として勉強させていただいた間、本会や支部を構成するメンバーの職種や職務内容が、他学会のそれらと比べ非常に多岐にわたること、いずれの方々もプロフェッショナリズムが格段に高いこと、を強く感じました。学会や支部のあらゆる活動は「いつか、誰かの何かの役に立てばよい」レベルではなく、人の生命に関わる「創薬」「育薬・安全」「製造・供給」「人材育成」の真剣勝負であると思います。「関東支部会員が、真に有益な情報を発信する」「関東支部会員が真に有益な情報を入手できる」機会を最大限増やせるよう、この一年間、微力ながら精一杯努力する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。そして、支部活動に関するご指摘・ご助言を積極的にいただきたく存じます。
2022年4月
日本薬学会関東支部長 須貝 威
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