|
このたび、日本薬学会関東支部支部長に就任しました筑波大学附属病院薬剤部の本間真人と申します。就任にあたりご挨拶を申し上げます。
薬学は医薬品の創製(創薬)と医療現場での適正使用(育薬)を通して、多くの疾病の治療・克服に貢献してきました。現在、世界各地で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症においても新しいワクチンや治療薬の開発、それらの有効性と安全性の評価、製造と供給などが、収束に向けて急ピッチで進んでおり、“創薬”に対する国民の期待が高まっています。一方、昨今の医薬品製造にかかる一部企業の法令違反は、医薬品の供給(流通)に多大な影響を及ぼしただけでなく、患者に健康被害をもたらすなど、日本の医薬品製造業にかかる信頼を大きく損ねる問題となりました。他方、医療行政が推進する地域包括ケアでは、“育薬”にかかわる薬局や薬剤師の役割も変わりつつあります。薬機法の改正により、薬局は医薬品の販売・調剤に加えて医薬品の適正使用に必要な情報を提供する場と定義され、薬剤師には患者の服薬状況の把握や服薬指導など、対人業務へのシフトが求められています。
このような医薬品や薬剤師に社会や国民が大きな関心を寄せている状況において、“創薬と育薬”に関連して発生する課題や問題点は、日本薬学会の活動とも関連するものであり、“誠実かつ前向きに”対処していくことが大切であると考えております。
日本薬学会は、「薬学に関する学術の進歩および普及をはかり、薬学関係者・会員の研究成果の発表および研修をする機会を提供し、もって学術文化の発展に寄与する」ことを目的として1880年に設立された学会です。会員には、創薬研究に係る研究者や製薬企業、医薬品の適正使用を推進する病院や薬局の薬剤師、薬学研究者や薬剤師を養成するアカデミア、薬事行政を監視する規制当局など種々の専門家が参画しており、我が国の薬学関連事項を広範に網羅しております。関東支部は全国で8つある薬学会支部のうち会員全体の約半数を占める最大規模の支部であり、上記の目的を達成するために関東甲信越地区において必要な事業を行う役割を担っております。
関東支部では2021年度の事業として、会員向けには、「第65回日本薬学会関東支部大会・若手シンポジウム」(9月11日、千葉大学)、「学術講演会」(11月27日、長井記念ホール)を開催いたします。各分野の最新知識を共有するとともに、研究成果の発表の場として、特に薬学生を含めた若手の先生の積極的な参加を期待しております。また、「薬剤師向け研修講演会」(2022年1月9日、宇都宮文化会館)は会員以外の薬剤師にも参加できる機会となるよう計画しております。一般市民に対しては、健康増進や薬物治療への関心を高めていただくための市民講演会「くすりと健康」を春(6月5日)と秋(10月2日)に、未来の薬学を担う人材育成を目的に「子ども実験企画」を夏休みの期間(7月30日)に計画しております。会員の皆様におかれましては支部大会等の各種事業へ積極的にご参加いただくとともに、お知り合いや関係する方々にも広くご案内いただけますようお願いいたします。また併せて、支部会の活動に関する支部へのご助言、事業に関する新企画等のご提案もお待ち申し上げます。
医療体制の動向が注目されるコロナ禍の中で、病院薬剤師の私が、日本薬学会関東支部の支部長に拝命されたことも何かの縁と思い、種々の事業に、また皆様からのご意見・ご要望に“誠実かつ前向きに”取り組んで参りたいと考えております。一年間、微力ながら精一杯努力する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2021年5月
日本薬学会関東支部長 本間真人
日本薬学会関東支部事務局 〒150-0002 渋谷区渋谷2-12-15 日本薬学会長井記念館 e-mail. kantoshibu@pharm.or.jp | |
COPYRIGHT © 公益社団法人日本薬学会関東支部